POISON GIRL BAND 単独ライブ あの頃の漫才2000~2013と新作60分漫才

POISON GIRL BANDの8年ぶりの単独ライブに行って来ました。

結成当初の2000年から2013年までの漫才を9本と60分漫才。休憩を挟んでの150分公演でしたけど、なんとも幸せな時間でした。

もう一生ポイズンの単独ライブを生で見ることはないだろうと思っていたので、夢が叶ったようです。嬉しい。

どのネタも面白くで大好きでしたが、やっぱりM-1の決勝でやっていたネタは輝きが違って見えました。それに勝るとも劣らないモノマネのネタの面白さを改めて享受して、このネタをテレビで見たかったなと思いました。もっとたくさんの人に見てもらうべきネタだと思う。

あまりこうやって過去のネタを引っ張り出してベストネタライブをやるという場面にでくわしたことがないので、実際のところはどうかは分かりませんが、ネタ(特に漫才)はその当時の流行りみたいなものとか、あと本人達の芸歴だとかも加味された上での出来だと思っているので*1結成1年目のときのネタを14年経った今やって、全く遜色なく楽しめるコンビなんてそうそういないんじゃないでしょうか。もちろんやっていることとかは変化しているんでしょうけど、ずーっとポイズンはポイズンの色のままで、1年目のネタも新ネタも同じように「ああポイズンの漫才だ」と思うことが出来て、結成当初からこれが出来上がっていたんだと思うと、それを生で見たかった!と悔しい気持ちに。

 

ネタの感想など

  • OPVTR
    DVDのメニュー画面のような構成で「OPVTR」、「2000~2003」というようにメニューが用意されていた。
    年代のブロック分けの根拠は不明だけれど、初期・M-1期・現在 みたいなことなのかな、と。各ブロック分けで、当時の彼らの写真がスライドショーとして流され、おそらく当時流行った曲がBGMになっているのだけれど、その曲のチョイスがなかなか湿っぽい曲が多くて「え、解散すんの!?」と思わせるような演出でした。事前に「解散は無いです」と明言されていたから安心して見れたものの、あの発言を聞いてなかったらモヤモヤしながら見ることになったんだろうな。
  • 2000~2003
    茶髪でやや短髪な阿部ちゃんがすこぶるかわいかったです。と言うか2人とも若くてとてもかわいかった。もし自分が今の年齢でこんな若手コンビを見つけたら(しかもネタがこんなに面白い)夢中になっていただろうな、と思いました。いや、今でも十分夢中ですが。
  •  ペーパードライバー
    ネタラインナップが発表されたときに「見たことないネタ」だと思っていたのですが、見てみたら見たことあるネタでした。このネタ1年目のときのやつだったのか!(ちなみに自分は「ドライブ」と呼んでいたようです:

    佐久間一行presentsA面B面〜ネタ2本やります〜 - 笑い足りません

    )「ブレーキはね、何回か踏んだ」「ブレーキ踏んでなかったら俺いまここにいないからね」
  • スフィンクス
    熱望していたネタ。もう、すごく大好き。ポイズンのポイズンたるやみたいなのが詰まっている気がする。「俺なんかはさ、ちょっと「どうなの?」って思う」という優しすぎるツッコミが、わたしの中での吉田さんのスタンダードなツッコミで、こういう表現をするところがとても好きだなぁと。
    阿部ちゃんの何にも寄せ付けない真っ直ぐなボケに、ものすごくマッチしたツッコミだなって思います。で、本人達の話を聞くにこの当時は吉田さんが完全にネタ台本を作っていたはずで、それを踏まえると(言葉が悪いですが)吉田大吾という人は最高にイカれている。
    「そのスフィンクス
    「ガイドブックにエジプトって書いてあるから」
    「日本から来た鉄砲肩ですって」『俺鉄砲肩なの?』
  • 真剣10代しゃべり場
    これは本当に一度も見たこと無いネタのはず。とても短く感じて、もっとずっと見ていたいと思わされました。
    「顔周りがうるさい」
    「遠くから見たら談志師匠」
  • 2004~2008
    M-1のネタを3本まとめて続けてみれるという贅沢!開演前に「その当時のままでやります」というような注意書きがあったのですが、フレーズとか本当にそのまんまという感じでした。M-1以降おそらくどこでもやっていなくて、きっと一生見ることは無いんだろうと思っていたネタ。
    フォトアルバムでのM-1予選の写真はグっとくるものがありました。
  • 中日
    言わずもながの名作ですが、当時の自分は「何これ?」と思っていました。人の好みって変わっていくものなんですね。
    「背番号でだいたい分かるよ」『そこは見てみぬふり』
    『6が中日で4がミルク』
  • 服選び
    わたしこのネタ大好きです。このネタがどういうネタかって説明するなら「マグロを履くネタ」としか言えないけれど、それを言われても全くネタの概要が伝わらないけれど、ポイズンの漫才世界の奇妙さは一言で伝わるようなところが良いなって思います。
    スキニーパンツを履いてもじもじしながら漫才のセリフを言う吉田さんを、自身の股間を抑えつつなんとも言えない表情で見守る阿部ちゃんが、もう。なんでこのくだりにこんなに時間割くのっていうような余談の部分なのだけれど、こういうところを広げちゃうのがポイズンという感じがする。
    「スパーッツ!みたいなのもダメ」
    「素敵なズボンですね」
    『カツオか?』「子供はカツオで大人はマグロとかないから」
  • SHIMANE TO TOTTORI
    このネタが初めておろされた時を見たかったなと思います。モノマネのネタを初めて見たときに受けた衝撃というか感動は、後にも先にもあの時だけでどう表現したら良いのか分からないけれど「これだー!!!」という何に対するものか分からない確信を得た感じは、きっとこのネタを見たときにも味わえたんじゃないかなって思う。
    見えない島根と鳥取を手の上で扱うという奇妙さと、それを(違和感を感じつつも)受け入れて一緒にやろうとする吉田さんとのやり取りが素敵です。「島根と鳥取は持てない」ということに対してのツッコミが無くて、スフィンクスのネタじゃないけれど、見ている側がずっと引っ掛かってる部分は解消しないまま進んでいく会話が、異次元というかポイズンの世界だなって。
  • 2009~2013
    ここからは自分が上京してきて、活動を生で追っかけるようになったのでフォトアルバムも「懐かしい!」と思うような写真がちらほら。シュール5の公演で椅子を使ってこれでもかというぐらいセクシーな一面を見せてくれた阿部様の写真がありました。そんなこともあったなぁ!
  • カラオケでは何を歌うべきか?
    このネタは何なんだろうなぁ。先のネタは明らかに取り扱っているものが妙という感じだったけれど、ちょっと雰囲気が違うんだよな。なんとなくパソコンのネタにも通じるものがあるような気がしています。実はそんなに見たことが無いネタなので、ネタのラインナップを見たときに「これ!?」と思ったネタでもある。これは贔屓目が入っているんだろうけど「何の罪だよ!」というやりとりで、これ以上面白いものは無いと思う。「殺人罪」という答えが良いというわけではなくて、前後の会話とか、実際やっている内容とのアンバランスさとか。割とメジャーで安直な罪名というところとか。
    『カラオケでは他の人の歌った歌覚えてるとこれだから』
    「何の罪なの?」『殺人罪
    「破いたものがくっついたところで一回アピールさせて」「ほらくっついたよ、って」
  • モノマネ
    こうやって並べてみて、おそらく今回のネタの中で一番回数を多く見ているネタなのに、圧倒的に面白かった。なんどこんなに何回見ても面白いのだろう。知ってるのに!どんなモノマネをするのか知っているのに!!
    五木ひろしのモノマネの後の「だれ?」と両隣の人を指摘する吉田さんのツッコミがとても好きです。
    「クロワッサンが大好きです!」
    「そんなやつすぐ戻ってくるじゃん」
  • 巨人に入りたい
    一番最近のネタ。正直なところ2013年のネタでは他に好きなネタがあって、それはあまりお目にかかれないのでそちらを見たかったという気持ちはあるけれど、「運動不足解消のために巨人に入りたい」という強引なテーマの入り方はとても好き。実際オーディション会場での熱量が「運動不足解消のため」のレベルを超えていなくて、巨人に失礼すぎる振る舞いが阿部ちゃんのもっている不謹慎なオーラ*2に非常にあっているとも思う。
    『東京都からやってきました、POISON GIRL BAND阿部』
    『主にホームランを打ちます!」
  • 休憩
    休憩中は阿部ちゃんの携帯フォルダ内の画像が流れていました。ガッポリ建設
  • 60分漫才
    60分漫才こそ感想を書くことが難しいんですけど、宗教法人PGBがいよいよ本格的に活動を始めるのかなというようなネタでした。ひどく面白かったけれど、お笑い好きではないお友達を誘わなくて良かったと心底思いました。
    どこまでが台本でどこまでがアドリブなのか分からないポイズンらしい漫才でした。どちらもポイズンらしいポイズンだけの漫才だなって思うけれど、前半のベストネタと比較して60分漫才の異質感がいつにも増してひどかった。あまりポイズンを見慣れて無い方が見てどうだったんだろう。
    『おれは鼻がきかないキャラでいくわ、って返信したじゃん』
    『(かっこわらいを)マック赤坂
    「笑いとまんなくなってるじゃん」
    『お前が肉付けしろよ』
    『そうですねー!』
    「俺マネキンと漫才してるわけじゃないから」『おおって言うだけ良いだろ』
    『今日一段と(妖怪を感じ取る能力がある感じ)出てるわー』
    『大会でたら?』「大会あるの?」『調べたらあるんじゃない?』
    『きちぽん興行…あっ、きちぽんクリエイティブエージェンシー』
    観月ありさは違うよ」
    「才能ゼロ」
    『朝倉さん、それは違うんじゃない?』
    『妖怪にネタってちらし寿司じゃないんだから』
    『湿っぽくなっちゃいましたね』
    「水風呂あるの?水風呂があるらしいのでー」
    「でっかいサウナで何言ってるの?」
    「でっかいサウナで裸のお客さん前にして何言ってるの?」
    『約束します』
    『みなさんのビジョンが見えるんです』
    『移動している間に邪気がたまるからな』
    『12~3分の自由時間』
    『1時間かけてゆっくり犬になります』
    「最後雑!」
    「国会」
    『河童に会えるぞー!』
    「ボケチームで練習してこいよ」
    「500人でのネタ書くの大変だよ」『何新入りのくせにネタ書く気になってんだよ

予期せぬ「湿っぽくなっちゃいましたね」からの「湿っぽいですね」「みなさんそれぞれのペースで大丈夫ですからね」といつの間にかルミネが巨大サウナになっていて、私の服も脱がされて全裸になっていたところで「もうダメ!」と思いました。*3意味が分からなすぎる。巨大サウナの中で宗教観満載の演説を聞かされるという。ポイズンの漫才って2人だけが2人だけで納得出来てる異世界の中で行われていて、おいてけぼりをくう感じがするけれど、この60分漫才は(というかサウナからのくだりは特に)見ているこちらも強引にそっち側に連れていかれていて異世界に迷い込んでキョロキョロ落ち着かなかった。そこに吉田さんが「怖いから」とマトモっぽいこと言ってくれることで落ち着きを取り戻しかけるんだけど、この世界を成立させちゃってるのは吉田さんが阿部ちゃんのやっていることを受け入れているからで、はたから見たら洗脳しているようにしか見えないような内容だったんじゃないかな。

吉田さんが阿部ちゃんのやったことを真似た時って間違いなく面白いのだけれど、じゃあそれを吉田さんがボケとして演じていたら面白いかというと当然否で、阿部ちゃんのやっていることの奇妙さが吉田さんを通すことでいかにオカシナことかを浮き彫りにしているというか。吉田さんってやっぱりツッコミの人なんだなって。何がおかしいかっていうことをちゃんと提示出来るという点で。でも明確な言葉でどうのこうのっていうわけではないので、ポイズンの漫才が決して大衆受けしないというのも理解出来る。

 

とにかく幸せな時間でした。次回の60分漫才も決まっているようで、ありがたい限り。

*1:芸歴が浅い方は少し荒削りなほうが逆に受ける、というような

*2:お葬式でニコニコしていそうな気がする

*3:良い意味で!