東京吉本若手漫才協会本公演〜昔話編〜


こんな長いタイトルだったのか。
ネタライブと、企画会議ライブと交互にやっている「東京吉本若手漫才協会」のネタライブ2回目。企画会議ライブは行ったことがないのですが、今日出演していた方がその企画ライブに出ているかと言えばそうでもないよう。
オープニング、エンディングのトーク部分のレポは簡単に、ですがtwitterのほうに残させてもらったので、こちらでは割愛致します。
そのため、感想と銘打ったただのネタバレ記録になってしまいます。今後ここでやったネタを他の場で披露する機会もあるでしょうから、新ネタを大切にしてらっしゃる方はご覧にならないようにお気をつけください。



以下、順不同で感想など。

昔話の中で鶴の恩返しが一番好きだ、という入りから「開けてはいけないといわれた扉を開けたい衝動に駆られるお爺さんの葛藤」をもっと表現すべきだ、ということでやってみることに。
誤解を恐れずに言うと、すごくオーソドックスな漫才だなという印象でした。このライブだと、皆が同じテーマでネタを作ってくるので、カブらないようにちょっと変わった切り口で作ってしまいそうなのに、ものすごく直球で気持ち良いなと。何様だ、って感じですね。あはは。
ヒダリウマのネタは数回しか見たことないですが、ツッコミの子がつっこむ時にマイクに近づくのが気になります、違和感。コント師さんが漫才をやるときになりがちですけど…。
  • トンファー:三匹の子豚みたいな話
三匹の子豚みたいな話が現代にもあったんだよーというネタ。
山西さんのお話に入り込んでのツッコミが面白い。トンファーのネタではよくありますが、山西さんが異常に感情移入しすぎて小浜さんの熱量を超えるような状態。それがこのネタにもありました。
三匹の子豚の話だったはずが、オオカミ少年の話に変わっていってしまったことへのツッコミ「トンネルを抜けたらそこはオオカミ少年」と雪国の冒頭のようなフレーズがものすごく、お客さんにハマっていて大きな拍手笑いが起きていました。すごい!
  • 井下好井:昔話のドラマ
サザエさん等がドラマになっているから、昔話もドラマにしたらどうだろう、ということで好井さんの考える演出方法を発表。
やりたいことは分からないでもないんですけど…導入部分が粗っぽかったのかな、なんとなく入り込めなくて残念。
  • タモンズ:昔話の教訓
昔話にはそれぞれ教訓がある、という話題なのですが安部さんの捉えている教訓がいまいちズレていて…というようなネタ。
すごく面白かったです、なんというかツッコミが入ってから笑いが起きていて正しい漫才の形だなぁなんてことを思いました。*1
発想も独特で良いなぁと思いました。ちょっと違う角度から見ているという感じ。
個人的には11期の漫才三銃士(笑)は、今後吉本の漫才師を引っ張る存在になる!と思っていますし、その中ではトンファーが好みなわけですが。本命はタモンズなのかもしれないなぁ、と思わされます。 導入を忘れてしまいましたが、鶴の恩返しをやってみよう、というようなネタ。
題材がヒダリウマとカブってしまって、しかもコントに入るというのも同じで、なんとなく印象がごちゃ混ぜになってしまうのですが。えんにちは言ってもキャラクター漫才と言うか、全く同じものを扱って同じ切り口だったとしても彼らにしか出来ないボケがあるわけで、でも何故か今回はそれを抑え気味にしたとのことでした。勿体無い。
個人的にはキャラクター漫才は好みではないです、なんとなくパターンが限られているような気がするからです。けれど、えんにちはそこを超えてある程度メリハリをつけてネタを作っているように思っていたので、少し残念。
なんてことをファンでもない人間が言うのは調子が良すぎますかね。
  • 天狗:宝塚風昔話
昔話を宝塚風に演じてみよう!というもの。お恥ずかしい話ですが、宝塚に対するイメージが出来上がっていないためにしばらく「?」となってしまいました。宝塚ってオペラ調なんですね。
だったらオペラと言えばいいのにーと思ったのですが、そこは流石オチにつながってくるのでした。
究極のノリツッコミ、というか散々付き合った挙句最後に「あかんでぃ!」でしめる天狗の漫才。
それはそれで面白いですし、笑っている以上は何か言うのは違うのかもしれませんが…漫才をおしゃべりとして考えたときのリアリティを求めるのであれば、違和感を感じざるを得なくて。
これが天狗の色なんでしょうし、それを否と思うのであれば自分は好きじゃないというだけの話ではありますが、そうじゃないネタも面白いというのを見ているので、あまり偏ってほしくないなとも思います。勝手ですね。
  • ゆったり感:昔話のキャラにヒーローインタビュー
そのまま、昔話のキャラクターになりきってヒーローインタビューごっこをしようというもの。
金太郎の時の「自分こういう格好でやらせてもらってるんで」が面白かったです。ゆったり感はボケを言い切った段階で笑っちゃうんだよなぁ。だからツッコミの印象が薄いというか…うーん。
中村さんは割りと淡々と同じトーンでボケている印象ですが、江崎さんは熱いというかすごくヒートアップしていく印象があって、それは何故なんだろうとか思ったり。お互いが徐々に上がっていくものなのではないの?一人温度差のある江崎さんを楽しむという構図なの?
  • 囲碁将棋:桃太郎のキャラクターをトレード
桃太郎のキャラクターは鬼退治するには弱すぎる、ということでもし自分が桃太郎だったら誰を采配するか考えようというもの。
こういうお喋り大好きです。囲碁将棋はやっぱり優秀なんだよな。ものすごく会話っぽい漫才。
あと、見ている人の脳を刺激する…というかこちらの知識もある程度必要となってくるボケをするので、すごく嫌な言い方をすると「今、レベルの高い笑いを体験しているわ」というような感覚も味わえるという素晴らしい漫才です。*2
自分はあまり漫画やアニメに詳しいわけではないので、よく分からなかったですが。それでもなんとなく笑えちゃうというのはボケの内容どうこう以外の部分(具体的には2人のやり取り・掛け合い)で笑いの要素があるというわけで。
万人にウケる漫才をすることが、理想とされる漫才師であるならば、囲碁将棋は有力株ってことですよね。
一休さんは小坊主が大人を言いくるめるのが痛快!という橘さんに対し「実際はそう上手くはいかない」ということでやってみることに。
なんとも西島さんにぴったりな感じでした。理詰めというか。怒られてるのにポクポクしようとする一休さんに「今怒ってんだから」とか…ああリアル…と思いながら見ていたのでした。
過去のネタでもちょくちょく見られた「連れ去られる橘さん」はここにも居ました。しんうえもんさんになかなかの折檻されるというえげつないストーリー…(笑)
ネタはネタで良かったのですが、西島さんがミスをしてしまったらしく「虎を捕まえて〜」というべきところを「虎を出して〜」と言ってしまい、当然その後のつじつまが合わなくなったのですが。
そこで「ああやり直し!もう一回!」とか言って言い直して演じるのではなくて、ミスしたので将軍(西島さん)が折檻されるという内容に変えたと言うのが…。笑いの量としてどっちが正解だったのかは分かりませんが、その判断力が素晴らしいなぁと。エリートヤンキーはそういうところが好きだな、と思ったのです。
野田君の昔話が、どうやらちょっと違う…というような内容。
話の主になる登場人物の名を忘れてしまったのですが、とにかくどの物語にもそいつが出てきてめちゃくちゃにして、かなり夢のない教訓で育っている野田君(笑)
  • デスペラード:桃太郎をイラン風に
桃太郎をイランでの出来事に置き換えてみよう、というもの。
一夫多妻制だったり、断食中だから桃をスルーしたり。
デスペラードは時事ネタのときすごく面白かったのですが、なんだろ結構題材を選ぶタイプの芸人さんなんでしょうか。
  • 若月:笠地蔵みたいなことが起こったら
道に落ちてるゴミを拾ったり、カーネルサンダースを拭いたりしているらしい徹さん(笑)なので、笠地蔵の物語のようにカーネルサンダースが御礼にくるかも!というもの。
亮さんの笑顔が…なんて怖いんでしょうか(笑)
独特の展開で面白いなぁと思いました。カーネルサンダースがやってくるって…。
  • LLR:昔話は曖昧だ
昔話は曖昧だからすっと入ってこない、という福田さん。じゃあどうしたらいいのか?というような。
面白かったな。福田さんっぽい展開で。
浦島太郎の部分での亀のサイズ→いじめっ子のサイズ→太郎のサイズ→亀のサイズという無限ループに入りかける指摘が面白かったです。あとその結果の竜宮城はちょっと(海から)出てるという推測だとか。
猿カニ合戦の着眼点を評価しちゃうところとか。その着眼点がすごいよ。
これが、ものすごく雑談っぽい…というか会話っぽい漫才で衝撃的でした。別に今までが会話っぽくないと思っていたわけではないのですが、「自然な会話に見える漫才」だったのが本当に自然な会話だったと言うか…うーん上手く言えない。
それとも自分が体調不良であまり頭に入ってきてなかった影響でしょうか。
ちょうど前日に過去の彼らのネタを見返していまして、まとめて見ていると自然な会話っぽいのだけれど、よくよく見ていると漫才であるという前提がちゃんとあって、その中で演じている自然さになっていて、その構成力みたいなものに感動していたところだったのに、丸っきり「会話!」という感じの漫才を見せられて「おお、こういうのもやるんだった!」と思わされたというか。でもだったら伊藤さんの毒っぽさも出してーと思ったり。
  • ロシアンモンキー:子供が聞いてくれる昔話
なんとなくLLRと似ていたのかな?最近の子供達は昔話にリアリティを求めるから、先生方が独自で変えているというような。
本当に丸っきりアドリブでやったとのことでした。だからそれはそれはもうフワフワフワフワしておりまして、ロシモンを目当に見に来た方は不完全燃焼だったのでは…。




まとめて感想を書くと、今日誰が好みで誰が好みじゃなかったか露骨に分かりますね。あはは。

*1:何が正しいか、なんていうのは人それぞれでしょうが

*2:レベルの高い笑いって何だよ、って感じですが