吉本若手漫才協会〜夏のいろいろ編〜
漫才協会の本公演、4回目。今回は「夏のいろいろ」がテーマということで、これまでよりはかなり広がったテーマでした。なのでそれぞれが得意な方向に持っていきやすかったんじゃないでしょうか。ネタかぶりもほとんどありませんでしたし、これまでの公演では「そういう切り口でやるのか」とコンビの色を強く感じたものですが、普通の新ネタライブに近いような感覚で見ることが出来ました。
しかしながら、個人的にはこのライブは「普段やらないテーマに挑む」ということで、苦手をなくしていく…という趣旨のもと行っているのだと解釈していたので、あまり自由に出来すぎても如何なものかな、と思いました。
見ている側は、そんなこと気にせず面白いか否かだけを感じていれば良いのかもしれませんが。
各コンビの感想。順不同。ネタバレ含みます。
- 井下好井:濁点なしキャラ
トップバッターだったので、少しふわっとしてしまったところがありましたが(私の席の周りだけかも)井下好井は上手いなーと改めて感じました。
- えんにち:花火デート
花火デートいう題材で、出店でのやりとりとか花火のシーンとか。えんにちを見る度に思うことですが、キャラクターを重視した漫才なのに、お決まりのパターンみたいなものに頼ったりせずに、漫才を作り上げるのはすごいなと思います。
しかし、少し前に「すごく面白い!」と思ったネタは、芸人アイパー滝沢という地のキャラクターで進むものだったと記憶しているので、やはり漫才はキャラクターをのっけないほうが面白いのかなぁとも思います。
- エリートヤンキー:暑さ対策
書いてみて気づきましたが、実はことば遊びを含んでいたんですね。暑さに熱さ。
個人的には、後半部分のくだりのほうが好きでした。
西島さんが橘さんをオモチャのように扱ってケタケタ笑ってる姿は面白いのですが、ちょっとズレを感じると一気に面白さが失われてしまうときもあって、今回のネタはそれが強かったです。ここらへんは個人によって違ってくる部分かもしれませんが、なんとなく置いてけぼりをくらっているように感じるというか。
- マヂカルラブリー:セミ
8月1日から8月31日までを1日ずつ野田さんが読み上げ、それに対し鈴木さんは感想的ツッコミを入れる…という形だったのですが、漫才における「会話」という要素が見事に削がれていたのが印象的でした。
もともとマヂカルラブリーの漫才には会話という要素はあまり無かったのですが、それは「一方通行」であるために会話が成り立っていない…ということでしたが(鈴木さんのツッコミに野田さんが全く反応せずに、次の展開へ進んでしまうところなど)今回のネタは、鈴木さんも会話をしようと望んでいないように見え、今までとちょっと違うように思いました。
これは、淡々と1日ずつ読みつづけることで次の展開が見えているから感じたことで、実際は普段とは変わりない作り方なのかもしれませんが。
なんと言うか、個人的には会話に特化しているネタのほうが好きなのですが、それでも彼らのことはすごく面白い!好き!とまで思えるので、改めてマヂカルラブリーの才能を感じたわけです。
- トレンディエンジェル:スイカ割り
「ワンパターン」と言われて「ハゲと、『ペッ』と、ダジャレと、歌と4つだよ!」と言い返し、それが後で効いてくるというのもとても良かったです。
もっとウケても良かったような気がしますが、新ネタですしこんなもんなのですかね。
- 囲碁将棋:中身はいっしょ
ただ、私はあまり賢くないために「匂いは味の一部なんじゃないの?」という部分がひっかかってしまい、なんだか全然漫才に入り込めませんでした。根建さんがは車において「中身は一緒」というものを挙げていたのですが、一つ目の車から全くイメージ出来なかったので、段々マニアックになっていく…というあの展開を感じられなかったこともまた。
それでも何となく「面白い」と感じて笑えちゃうというのが囲碁将棋のすごさですよね。
マヂカルラブリー、トレンディエンジェル、囲碁将棋の並びは認定漫才師3組だったのですが、流石だなーと感じさせられました。
- LLR:フリ
が、とても面白そうでワクワクするネタでしたし、信じられないくらいズルズルにスベっていたけれど、捨ててしまわず上手く改良して良いネタにしてほしいです。
ネタの流れ上、ボケの部分で笑えないわけですから、ツッコミ部分で笑いをとれなきゃいけないわけで、なかなか伊藤さんの比重が重いのかもしれないですね。その割には練習時間が足りてなかったのかな、と。
- 若月:キャンプ
若月は、2年前の漫才大作戦で毎月見ている頃は上手くまとめきれていないことが多かった気がするのですが、ここ最近はすごく上手く面白くなってますね。そういうのを見て取れるのはとても嬉しいです。
- ゆったり感:ラジオ体操
実は、私はゆったり感の漫才はあまり得意ではないのですが、エンディングにおいて誰かが「ゆったり感(の見所)はフォーマットだから」と仰っていて、妙に納得出来たのです。彼らのファンの方はそういう部分にほれ込んでいるのだろうなぁと。
- デスペラード:怖い話
デスペラードはかなり面白い、と思っています。
- 天狗:ラジオDJ
天狗はここ1年ぐらいどこで見ても、いつもとてもウケていてすごいなと思います。
- トンファー:自由研究
面白かったです。トンファーは見るネタ見るネタとても良く出来ています。好きだからそう感じるのでしょうか。
あえて言うならば、漫才広場等で披露しているネタのほうがやっぱり出来が良いなーとも思いますが、テーマに沿ってある程度のレベルまでしっかり作り上げてくるという点にたいへん感動しています。
実際にこの自由研究をしているわけはないのに、小浜さんなら本当にやっていてもおかしくないなーと思えるという、その小浜さんのキャラクターが素晴らしいと思います。個人的には、その無邪気さに翻弄されているように見える山西さんが途中「お前は天真爛漫でいてくれ!」と言う部分がとても好きでした。
- タモンズ:夏の歌
先日の漫才広場で見た「女性の気持ち」のネタもそうですが、ある物事に対する安部さんのかなり独特な解釈というのがタモンズの面白さですね。
エンディングでロシモンに「大波が笑いとりすぎ!」と注意(と言うよりはいちゃもん?)されていましたが、ツッコミが上手いばかりにどうしても目立ってしまうんでしょうか。ただ、やはり安部さんの色がタモンズの良さだと思うので、彼らのネタを見て「ツッコミが上手い」という感想にならない程度にうまくバランスとってほしいなーと思います。
彼らも見る度とてもウケていて、それもここ1年ぐらいでグイグイきているように思います。
- ロシアンモンキー:トラブル
完全に川口さんで笑いをとっていましたが(笑)*1
これまで気づかなかったですが、天使と悪魔のネタとか、桃太郎のネタとか、ロシモンのネタは「ボケに遊ばれる器用なツッコミ」が見所になっていることが多いんですね。実はエリヤンと似ている…?けれどツッコミがツッコミが、と目立っていないのはそれこそバランスが保てているからなのかな。うーむ。
これだけのメンツの新ネタを見れる場が、全然無いので漫才贔屓ファンとしてはかなり有り難いライブです。
次回は神保町花月でのトークライブも行ってみようかな、と少し考えております。
*1:エンディングにてタモンズにいちゃもん付けていた際に「漫才はボケがメインだから」と言って総ツッコミを受けていました。