M-1グランプリ2010準準決勝@メルパルク東京


とうとう準準決勝。
メルパルクに行くのは二度目でしたが、やはり大きいですねーすごい。普段シアターDとかのライブに通っている自分としてはこんな立派な設備に感動。MCのはりけ〜んずも仰っていましたが音や照明の精度がまるで違う!
こんな大きい箱でウケたらすっごく気持ち良いんだろうなーと思いながら見ていました、実際ウケている人達は楽しそうだった印象。
さすがにここまでくると「どうして通っちゃったの?」という人はいないのですが、この規模になって緊張が過ぎてしまいいつもの調子を出せない人がちらほらと。3回戦で見たりだとか普段の活躍を知っているが故に「ああ…!」ともどかしい気持ちになったコンビがいくつかありまして、やはり見に行ってないと結果を受け入れるのは難しいだろうなと当たり前のことを再認識いたしました。



  • どぶろっく:美容師
  • マヂカルラブリー:願い事を叶えたいよ
  • ピース:発音
  • ブロードキャスト:子供のしつけ
  • カナリア:手遊び歌
  • 天狗:業界用語
  • ロシアンモンキー:うたのお兄さんと戦隊ヒーロー



  • トンファー:ドラキュラ
  • グリーンランド:グーチョキパー
  • バース:ホームランの約束
  • 囲碁将棋:理想の結婚相手
  • ソラシド:観光PRCM
  • とろサーモン:就職面接
  • POISON GIRL BAND:英語


  • デスペラード:イランのお笑いブーム
  • 初恋クロマニヨン:セコンド
  • LLR:競馬
  • 磁石:交通事故
  • ジャングルポケット:バーベキュー
  • ハイキングウォーキング:うどん屋
  • ハライチ:刑事

自分が見ていて「絶対いったな」と思ったのはマヂカルラブリーとタイムマシーン3号、東京ダイナマイト。ポイズンに関しては好きが過ぎていて冷静な判断できないのでなんとも。


ギンナナ
「女の子にモテたい」という王道の入りで、ちょっと期待値が下がっちゃうのですが面白いなーと思いました。多分わたしギンナナ好きなんだと思います。主軸はやはりキクチさんのあの独特の雰囲気があってのボケなのですが、そもそも「女って○○〜」と女の子の特徴を挙げていくというところにあるあるネタの要素もあって、金成さんは別の方向で笑いをとりにいっているという…。フリがボケになり、みたいな作り方なんですかね。上手だなと。


平成ノブシコブシ
ああ残念、という。3回戦で見たやつのほうが個人的には好きだったので、逆だったらどうなっていたかなーと思ってしまいます。
今年に入ってからでしょうか?この形の(徳井さんがボケ)漫才を始めて見違えるように面白くなったと感じていたので、今後が楽しみ。って来年はもう出れないのかしら?


【トンファー】
おそらくドラキュラのネタだろう、と思っていました。ポイズンの漫才を除けば、私が今年一番笑った漫才です。JET GIGで初めて見たときに1人息が出来なくなるぐらい笑ったのを覚えています。
というわけでこのネタぶつけてダメなら、納得!というような気持ちでした。これはファンの贔屓目かもしれませんが、ネタそのものはすごく良いネタですし、準決勝に残った方々と比べて負けてないと思っています。がやはり「その日の出来」という部分では弱かったな、というところでしょうか。緊張しているような印象をウケましたし、小浜さんはもっとイタズラっ子の笑顔でニヤニヤとボケていてほしいです。ちゃんとやっちゃっていて、魅力が損なわれていたかな。
トンファーは設定に入る漫才のほうが面白い!と思っていますが、設定に入っても彼ら個人のキャラクターは残したままで進んでいくというのが肝なんじゃなだろうか、というのが私の解釈。上手く言えないのがもどかしいですが。設定に入る漫才でも、完全にキャラクターを入れ替えて進むもの・ツッコミの時だけキャラクターをおさえるもの・設定に入ってもキャラクターは一個人のままなもの・があって*1トンファーの漫才は個人のキャラクターのまま設定を進めていくものに分類されるかと。小浜さんが「ドラキュラをやりたい」という主張を利用して山西さんで遊んでいるような…ね。休み時間的なやりとり、漫才。
エリートヤンキーはそちらの傾向かなと思います、西島さんが橘さんで思いっきり遊ぶというような。
ものによっては遊ばれ・振り回されたツッコミが「遊ぶな!しっかりやれ!」というように展開するものもあるのでしょうけど、トンファーやエリヤンは遊ばれているにも関わらずツッコミ側がいやに真剣(精度が高い)というところがまた可笑しく感じるポイントでしょうか。エリヤンにしろトンファーにしろボケの方がニヤニヤしながら嬉しそうにボケて、ツッコミの方がツッコミを入れてる間も「言ってる言ってる」というような感じでニヤニヤしているのが良いなぁ好きだなぁと思います。西島さんも小浜さんもイタズラっ子の笑顔の印象が強いんだよな。


POISON GIRL BAND
このネタか!という驚き、でもこれM-1にはかけてないネタなんですね。それもまた驚き。
すごく印象的だったのは普段「阿部ちゃん阿部ちゃん」と言っている吉田さんが、ここでは名前を呼ばず「お前」とか「あなた」とか言っていたこと。自信ないですが一度も名前で呼ばなかったんじゃないかな。これ意識してのことだったら相当だな、と思います。意識してのことなんでしょうけど。
以前決勝に出た時の講評で大竹まことさんかな?ちょっと記憶が曖昧ですが、ポイズンの漫才を「自分達の存在を消そう消そうとしてるように見えるのに、逆に際立って見える」というようなことを言われていたことを思い出しまして。彼ら(吉田さん、阿部さん)個人が持っているキャラクターをどこまでも削ぎ落とす行為、それは単純に漫才の台本そのもので勝負しているということなのでは。M-1予選を見ていて思うのが、吉本勢のホーム感とそれに甘んじて「自分達を知っている」ことを前提となっているような漫才をしている人がいるということ。それは売れっ子とかにも通じることですかね。自己紹介もしていないのに突然個人の名前がネタ中に出てきたりだとか、いやお前の名前聞いてないし!というような気分になります*2そこで、ポイズンの、吉田さんの阿部さんへの呼びかけ方をいつもの「阿部ちゃん」ではなく「お前」だとかにしたのは、ポイズンを知らない人が見てもすっと入ってこれるようなものにしようという意識からなのかなーなんて。
ああ色々考えてやってるんだなーと思うと、ますますポイズンの漫才から感じられる印象=ふらっとやってきてダラダラ喋っているように見える自然さ、というのがいかにすごいことなのかと考えさせられます。台本があって、完全にキッチリこなしているものなのに、あの立ち話感は恐ろしいです。ってこれ盲目ファンのベタ誉めってやつでしょうか、気をつけなくちゃ。


LLR
競馬のネタ…!と思ったことは内緒にしておきます。
わたしポイズンを抜きにして考えると、その才能というか能力に一番期待しているがLLRでして。だからすごくキツくあたりたくなるというか、不満がやけにこぼれるんですよね。もう嫌いなんじゃないかというぐらいに。
ポイズンの場合は、ネタは漏れなく面白いと恩とてしまう盲目っぷりでして、その中でもやっぱり飛びぬけて良いものがあって、そしてそれを間違いなくM-1なりにもってきていて。その代わりその他のネタはものすごくあっさり切り捨てられていくんですよね、勿体無いと思うくらいに。それも十分面白いんですよ?
でもって、LLRも割とそういう傾向にあると思っています、バッサリアッサリとネタを切り捨てていくのですが、ポイズンと比べるとその切り捨て方が甘いというか…そもそも「そこそこ良い」ネタを切り捨てるというのが極端すぎる行動であるので「そこそこ良い」ネタを残しておくこと自体は悪くないと思うんですけど、そこそこ良い・とすごく良いの判断がつけれてないから「そこそこ良い」も残ってるんじゃないの?って思うことがあります(苦笑)
本当にものすごく良いネタについては、ポイズンのそれと比べて負けず劣らずぐらいだと思っているのに、やっぱりポイズンには及ばないみたいなところがあって、もどかしくて仕方がないです。…個人のキャラクターが乗っかっての面白さに頼ってる部分があって彼らを知らない人からするとなんとなく物足りない部分があるんだろうな。ポイズンのように個人を削ぎ落としても成立する力強いネタを作るか、それとも4分でキャラクター等も理解出来るようなネタを作るか。


【ジャングルポケット】
特記するようなことではないのですが。わたし実はジャンポケって全然ハマったことがなくて、コントも漫才も。昨年も何故残ったの?と思っていましたし、今若手芸人界ではなかなかの人気どころですけどそれも不思議だったんですけど。この日の漫才はちょっと面白いなと思いました。


見に行っていない方が何で落ちたの?と思いそうな方の印象を挙げると
【ロシモン】は、なんだろうやはり去年のネタが異常に良すぎて、それを超えれるネタじゃなかったなというのがまず。何より空気をつかめてなかった印象。グイグイと引き寄せられる感覚がなくて、ちょっと気を抜いて見てたら先に進んでいるような。ロシモンの今年のネタをそんなに知らないのですが、かなり注目視されていただけにネタ選びの問題なのかな?としか思えないです。
【天狗】も同様、なんとなく舞台で2人だけでやっているような印象でした。すごくウケの良いネタだと思いますし、いつもの調子だったらもっとウケていたんじゃないでしょうか。緊張ですかね、魔物に取り付かれましたかね。天狗ってツッコミ重視型のようなイメージをもっていましたが、彼らの代表的なこの形(通訳)のネタではほぼツッコミなしなんですよね。それって不思議。
エレファントジョン】は、順番…ですかね。一番目ってどうしてもふわっとしてしまうもので、3回戦でも同じネタを見ているだけに、それと比べるとちょっと…だったかなと。でもすごく良いネタだと思うので期待合格でいいから通ってほしかったな。
エリートヤンキー】は、うーん。彼らの今年の漫才ですごく評価を得ていた漫才ですし、おそらくこういう橘さんであそぶタイプのネタは今後外すことはないんだろうなーと思いますし、そういうのが出来たということが今年の収穫なのかな、と。ある程度橘さんが自由に動けるというところがポイントなんだろうな。この日もNASAの発表を取り入れてきたりとかして、ガチガチのネタになりすぎていないというか…本人がそうするって言ってましたからね。
ただね、しつこいようですがやはり単独で見た3分ドラマのネタが忘れられないですよ、そりゃM-1を意識したネタで遊びもなにもないガチガチのもので、楽しさはないのかもしれないですけど、すごく良かったのにー!と。M-1でやらないのは構わないからどこかでもう一度やってほしい…。可笑しいにプラスして「上手いなぁ」と思うようなやつ。

*1:これは以前サンキュータツオさんのブログでおぎやはぎを語っていた際に書いていたことだと思います。記憶が曖昧ですみません。

*2:実際は知っている場合もありますし、ちょっと考えれば分かることなんですが