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なんとなく地獄


神保町花月公演「なんとなく地獄」を見て来ました。
見に行く予定ではなかったのですが、ポイズンが良い・良いという噂を耳にしたので行かなきゃファンじゃない!と思い当日券で。

見終わった後はポイズンというコンビについてしか考えられなかったのですが、少し経ってから考えてみるとあてがきだったのかなと思うようになり、そう考えると思考がポイズンというコンビの元に戻ってきてしまって。
神保町花月に限らずお芝居ってものに対しての興味が薄いので、方向性の違うことを書きそうですが感想
あらすじはざっくり、丁寧に書いている方が沢山いらっしゃるので。
なんと今回は役名入りのチラシが配布されていましたので、とても分かりやすいです。私が過去に行った公演はどれも本名しか載っていなかったもので…感激。
  • POISON GIRL BAND 吉田:アリジゴク
  • POISON GIRL BAND 阿部:サトウ(今回アリジゴクに落ちてきた働き蟻、「何か」になったつもりで想像するのが得意)
  • 囲碁将棋 根建:アマノ(今回アリジゴクに落ちてきた働き蟻、サトウの友達)
  • 囲碁将棋 文田:カネヒラ(アリジゴクに居た蟻、トガシの子分的存在)
  • ライス 田所:トガシ(アリジゴクに居た蟻、天才、アリジゴクの世界を仕切っている)
  • ライス 関町:クリヤマ(アリジゴクに居た蟻、腕力に自身あり、貯蔵庫管理)
  • 畑中しんじろう:シオザキ(アリジゴクに居た蟻、役立たず)

サトウとアマノがアリジゴクに落ちてしまい、命乞いをしたところ「面白いお話をしろ」と言われサトウが咄嗟にアマノの話を自分の話のように話したことで助かる2人。
ここではアリジゴクが楽しめるお話をし続ける限りは、生きていられる。けれど楽しませられなかったら即殺される。
そんな世界で生きてきたトガシ、カネヒラ、クリヤマ、シオザキ。彼らはお話作りの天才トガシの作ったお話を「何でもいうことを聞く」という条件と引換に与えてもらっており、そのお話のおかげで生き延びている。お話作りに自信のないアマノも、彼らと同じようにトガシからお話をもらうことに。
アリジゴクはサトウの話したアマノのお話をとても気に入っていたのだが、サトウは「あれはアマノのお話だから」とそのお話をアマノに返す。そして、それを奪うクリヤマ。
「お話の時間」に、トガシから貰ったお話をして生き延びるアマノ、アマノから奪ったお話をして殺されてしまうクリヤマ、そしてサトウは「アリジゴク」についてのお話を話す…。
殺されたクリヤマが自分が与えたお話ではなくサトウが話していたお話を話したことに腹を立てるトガシ、怒りの矛先はシオザキに向けられ罵声を浴びせる。そしてアマノに「サトウを殺せ」と命じる。「天才は俺1人だけでいい」と。
散々自分を否定され気が動転したシオザキは、勢い余ってトガシを殺してしまう。お話を与えてもらっていたカネヒラ・アマノは焦る。
アリジゴクがウスバノカゲロウになる時期が迫っていて、弱ってきていると見込んだ彼らはアリジゴクを殺すことを決意する。しかしサトウはアリジゴクが目が見えないこと等に同情しているのか「もっとお話を聞かせたい」と計画を止めようとする。
次のお話の時間、サトウのお話を聞いている隙にアリジゴクに襲うカネヒラとアマノ。そしてアリジゴクは死んでしまう。
サトウはアマノに「まだお話が終わってないのに!」と主張、その隙に死んだはずのアリジゴクによってアマノは殺されてしまう。逃げるカネヒラ。
アリジゴクはサトウにお話を続けるように言う。「どこに行きたい?どこにでも連れてってやるよ、お前の行きたいところ(サトウ)」「そうだな…地獄かな(アリジゴク)」「おれがこれから行くところだ(アリジゴク)」
「さぁ、行こう」というサトウの言葉と同時に息を引き取るアリジゴク。 終演。


これがあてがきであった、ということを前提に感想。あてがきじゃなかったらどうしよう(笑)


働き蟻とアリジゴクのお話。シュ…シュール…。もうこの設定というだけでポイズン、囲碁将棋、ライスが選ばれたことには至極納得。

吉田さんですが。POISON GIRL BAND、特に吉田さんのパブリックイメージは東京のシュッとしたお兄さん、だと思っています、私。M-1なんかでも「現代っ子」なんて煽られたり、大阪芸人さんからは東京の代名詞のように扱われていたり。実際そんなことはなくてすごく熱いお方なんですけども、まぁ見た目の感じとグイと出れない人見知りな性格と漫才の在り方でそう思われてもしょうがないのかな、と思います。実際私はファンになるまでそういうイメージを持っていたので…。吉田さんの人柄は置いておいて、そういうパブリックイメージにとても近いものだったんじゃないかな、と思います。思えばRYOMA!の時も同じことを思った気がします、ポイズンを外側から見ている人からすると吉田さんってそういう印象なんだな、と。それはそれはシュッしていてカッコイイのですが、個人的にはいつものニコニコしている吉田さんのほうが好きだなと思ったり。


阿部さんは、「独特の視点」というような部分が本人に重なっているのかな、と。あと純粋…というかすごく真直ぐ…というか「あれはアマノのお話だから」と言ってアマノが続きを話してもいいかどうかをアリジゴクに確認しに行ったりだとか。アリジゴクの立場になって考えてみて、「もっとお話聞かせたいんだよ」と言ったりだとか。決して自信があるわけではなくて、自分が特別とも思っていないんだろうけども、圧倒的な才能があって…という感じなんでしょうかね。脚本を書いた方は阿部さんをそう見ているんだろうなーと。あと、そういう部分に吉田さんがほれ込んでいるというのも見抜いていらっしゃったんでしょうかね、だとしたら相当なポイズンファン!サトウのお話に惹かれて惹かれて…というアリジゴクの様はPOISON GIRL BANDというコンビにおける吉田さんと阿部さんの関係性に似ているんだと思います。


根建さんは、愛すべきキャラというか。サトウとは違う方向で純粋でした。最初の「お話の時間」の場面でトガシから貰ったお話を必死で話す様が、いつもの根建さんとリンクすると言うかなんと言うか。しかし、このお話はトガシは本気で生き延びれると思って与えたものなのかな、殺すためにワザとへんなお話を…という可能性もあるような。うーん…でも自分の才能を確認するために正しい物語を与えたと考えるのが素直なのかな。
トガシからお話を貰う際に「何か面白いことやれ」と言われて謎かけをやらされるのですが。これは毎回アドリブなんでしょうか?私が見に行った回は「お菓子」という題でして「お菓子とかけまして、ワンピースでルフィのピンチとときます」「その心は、サンジを待とう」という答えを出し、「おおー!」という声が上がっておりました。それを受けて「やれば出来るじゃん!俺!」と(笑)


文田さんは、もう何ていうかこのスネオ的ポジションがハマりすぎです!虎の意を借る〜じゃないですけど、結局トガシが居なかったら生き延びれないくせに!必要以上に張り切らない、というか状況を見て一番良いところに入り込むというか、そういうイメージあります。ピッタリ。囲碁将棋でいるときは、根建さんをからかったりしていてグイグイいっちゃうキャラなのかなーと思うのですが、先輩ばかりのライブにゲスト参加すると途端におとなしくなってしまう様を何度かお見かけしているので…堅実というか勝てる勝負しかしないというか。*1


田所さん、これは言うまでも無く「天才」のキャラクターですから。ライスのあのコントがあって、田所さんのネタを書く才能だとかを踏まえた上での配役なんだろうな、と。すごく上昇志向の強いキャラでしたね、自分達の巣に戻ってまた働き蟻として生きるよりはここで得意なお話を考えて生きているほうが良いという考え。他の蟻からしたらアリジゴクは恐怖の存在でしかなかったけれど、「絶対に面白いお話を考えられる」という自信があるトガシにとってはアリジゴクの存在は決して恐怖ではなかったんだろうな。彼にとってもっと恐ろしかったのは自分以外の天才*2の存在であって。多分それまでどおりにしていればサトウがしゃしゃりでてきてトガシのポジションを狙うなんてことも無かったんでしょうけど、自分がそうであるからそういうふうにしか考えられない…というか。ううむ。ライスのことは好きですが個々人について深くは知らないので、どうなのか分かりませんが田所さんがこういう人じゃないと良いな。


関町さん、トガシのおかげで生き延びながらも次第に増していくトガシの要求に耐え切れなくなってきており、サトウのお話を狙う。アリジゴクはそのお話をすごく気に入っていたから生き延びられると思ったんでしょうけどね、結局アリジゴクが惹かれたのはサトウの視点で語られる物語であって、しかも一度ものすごく期待していたばかりにクリヤマの口から語られる物語はひどく色褪せて聞こえたんだろうなー。この役だけはなんとなくピッタリ!とは思えないというのが本音、関町さんはすごく優秀なプレイヤーだと思っているので…。
それまでトガシが与えたお話で生き延びていたわけですから、トガシは単純に面白いお話というだけでなく、その人のキャラクターや持ち味にあうかどうかという部分まで考えてお話を与えていたんでしょうか。そういうトガシの才能を表すための役だったのかな。


畑中さん、うん、これは非常にひどいけれどピッタリ。KABUTOのリーダーしんちゃん、という立場しか知らないようなものなんですが、あそこでの頼りなさというか「しっかりして(>_<)」みたいな感覚がここでも…。しかしせっかくのいいお顔なのにがっつりクマのあるメイクで、終始うつむき加減で勿体ない!とも。けれどあの痩せ型の体型だとかが気弱な感じを増徴させていてよかったですね。



お芝居はお芝居であって、彼ら本体ではないのだから芸人さん本人が脚本でもない限り彼らの本質には触れられないというのが私の考えでして、だからあまり神保町花月の公演には興味が無いのですが。こうやって、第3者の目から彼らを見て解いて、それを踏まえて別の物語を作ってると思うとかなり興味深いな、と考えが改められました。*3芸人さんはそういうことを意識した上で演じているのかな、どうなのかな。
脚本家さんがポイズンというコンビを見て、こうやってお話にしてくれたのであれば嬉しい限り。偶然…ではないと思いたいのです。「面白くなかったら殺される」というのが彼ら(芸人さん本体)に通じるものがあったり、面白くないと切り捨てる様は非常に吉田さんらしいかな。
振り返ってみて思ったことは、自分はポイズンのファンであるけれど彼らの関係性にはそれほど興味がないということ。二人で喋っているのを聞くのは好きですけど、仲良くあってほしいと思うわけでもなく、解散さえしなければ・漫才が面白ければそれで満足なんだろうなぁと。

ものすごく余談なのですが、「護り人」のチラシの絵を見て吹き出してしまいました、福田さん…(笑)

*1:なんか悪口みたいになってしまった

*2:サトウ

*3:全ての公演がそうであるわけではないんでしょうけど