金魚鉢


神保町花月にて、東京大吾組のチャレンジ公演を見てまいりました。昨年のチャレンジ公演は両日とも行ったのですが、今回は千秋楽のみの参加。今前回のときの感想を読もうとしたら、こっちのブログに移行する前だったんですね(笑)
白状しますと、ものすごい眠気と戦いながら見ていましたのであまり記憶がございません。というわけであらすじ等はなしで感想のみ。そしてそれらもtwitterからの引用多数。
前回は全て自作自演だった大吾組公演ですが、今回は神保町花月の名作家オコチャさんが脚本に入ってくれたそうで、練習期間から神保町花月のブログにて「大吾組らしい」というワードが何度も出ていたので、「大吾組らしい」ってどういうものかな、と色々楽しみにしながら見に行きました。
自分の思う「大吾組らしい」っていうのは、とにかくふざけっぱなしで(良い意味で)くだらなくて、しょうもないことを嬉々と取り組んでいる…というような感じでして、公演終わって最初に思ったのが「全然大吾組らしくないじゃん」ということ。だって普通にお芝居やっているんですよ?前回の公演が嘘のような。彼らを基軸として物語を作っているとはいえ、しでかすのが大吾組なのに!と。いや、それで前回金返せ公演になっちゃってるんですが(苦笑)
オコチャさんがせっかくキレイにまとめていただいて申し訳ないのですが、大吾組ファンが求めているのはこんなキレイなものではなくて、もっとめちゃくちゃなくだらない時間なんです。


ということで、なんだろうか。結局オコチャさんが用意してくれた中の遊びなので、ぶっとんだことは出来ないし。メッセージのかけらもない物語にはなりようがないし。トークライブでキワドイ発言ばかり繰り広げるのが「大吾組」だと思っている*1私にはなんとなく物足りなく。通常大吾組が多くの人に好かれているかと言えば、多分否でして。大吾組ファンっていうよりは福田ファンで成り立っているのが現状なのだと思いますし、あのくだらない会話の数々が他の多くのイベントより身のあるものかと問われたらyesとは言えないのですが、もやもや。

でも色々と振り返ってみると、ものすごく「彼ら」を表現した物語だったんだなーとか。
彼らのことは好きだけど、大吾組は好きじゃないっていう方もいるでしょうし、そういう方が見て…ってそういう方は今回の公演も見ていないのかな。私は見ていてなんとなく「物語上のキャラクター」として消化していたものが、彼らそのまんまだったということに後からどんどん気づいて「オコチャさんやりやがったな!」と思ったわけです。これは大吾組を好きじゃない人、というか彼らにそこまで興味無い人に見てほしかったかな、そして「あの人達あの役柄まんまなんですよ」と囁きたい(笑)
twitterにて全てアウトプットしてしまったので、わざわざブログに書くことでもないのかなとも思うのですが、一応。

吉田さんは彼女に「マジメ」とフラれたショックで金魚鉢(売春夫のお店)で働くように。フザけたことやってるでしょ、と言いつつもやはりマジメが抜けない、一方で一緒に働いている人達がどこまでもフザけていて、それに憧れていたりもして。
けど彼らからすれば、彼女にフラれたぐらいでこんな店で働くなんて考えるほうがよっぽどフザけていて。
マジメマジメっていうのもまさしく吉田さんですし、自分がものすごくぶっとんだ人間だということに気づかずに「自分はつまんない人間だー」みたいになっちゃうのもまさしく吉田さんで。吉田さんファンじゃない方が彼をどう認識しているか分かりませんが、自分で『普通』なんて言ってますし、見た感じシュッとした東京のお兄さん*2ですが、全然そんなじゃなくてかなりブッとんだ方だと思っています。だって島根と鳥取を持つんだぜ?(笑)
あと、変にキザで自分に酔っちゃってるような部分もまさしく吉田さんで。オコチャさんよく見てるよなーさすが同期。

福田さんは、もともと金魚鉢にお客さんと来ていていつも指名していた大さんが突然辞めたことに腹を立てて(お客さんが言わずに突然辞めるなんて…!と)働くようになり、自分がお客さんを満足させるんだ!という思いでナンバー1にもなって。
一緒に働いてる他のメンバーと仲良くしなかったり、「俺はナンバー1なんだよ」みたいな態度でいるから近寄り難い存在だったり。ナンバー2の吉田さんには「裏でなんかしてる」と疑われ、露骨に嫌われているし。でも「お客さんのため」という思いからやっていることであって、橘さんの悩みをうんうんと聞いたりだとか、本当は結構良い人で、これもまんま福田さんだなぁと。
そしてこの、福田さんがナンバー1で吉田さんがナンバー2っていうのがいかにも大吾組で(笑)大吾組なのにね、福田さんが人気者なんですもん。で、吉田さんはそれを快く思ってなさそうですし、福田さんはフフンって思っていそうなんですもん(笑)オコチャさんが見てもそうなんだろうなーと思うと非常に可笑しいです、吉田さんの痛ヲタを名乗っている私としては非常に不愉快な話ではあるんですけども。

大さんは元ナンバー1で舞い戻ってきた役。圧倒的存在感、でもって大さんの存在によって色々大きく変化したんじゃないかな…長澤さんとの関係性とかね。私が非常に「大さんだなぁ」と思ったのは、「ギャンブル強いから分かるよ」と言いつつ、絶対外す感じ。そうやって大口叩いている様が大さんの魅力なんですけど、それに全く説得力がないというかそういう感じが…ね。その根拠のない自信は何?とも思うし、でもそれだけ自信があるなら信じてみようかな、とも思うし。カリスマ性なんて言葉はもう古いんでしょうか、大さんにはそういう魅力があって、まんまそういう役だったなぁと。

長澤さんは、マルチ商法や宗教にハマっていて怪しい存在なんですけど。なんとなく殺伐としている人間関係の中で必死に調和を求めている様、というか大吾組における長澤さんて大さんと福田さんをなだめる役という印象でして、周囲を見て上手いこと自分でバランスをとってくれるというか。で、役もそういう感じだったなぁと。

真栄田さんは心優しいサイボーグの役で。真栄田さんの存在が一番良かったなぁ、やはり好きです。サイボーグというのがまた良いですよね、どこまでも規格外な真栄田さんにピッタリ。なんてハマり役なんでしょうか、すごく良い。真栄田さん(というかスリムクラブ)って圧倒的に面白くてすごく力があって、不思議なんですよね。だから「サイボーグなんだ」と言われたら納得してしまいそうで。オコチャさんは面白い配役をするなぁ。

橘さんは金を稼ぐという理由でやってきていて、すっごくとんがった役で、ツンツンしていて。でも福田さんに悩みというか心のうちを一気に明かしたりして。橘さんの役柄を振り返って思い出すのは前回の大吾組の際に福田さんがメールにて残した発言で「内気で言葉数の少ないリーダーと、どこか自信なさげで発言に重みのない実、言ってることの8割が嘘の大さんとそれを優しくみまもる真栄田さん」というもので。すごくツンツンしているのに、本音は自信がなくて弱気というのが。なんだろうか、私は橘さんのことそこまで知らなくて「自信なさげ」という印象じゃなかったんですが、福田さんのこの表現にはすごく納得出来たんですよね。だからすごく印象的で。そんでもって今回のそれぞれの役はそのままこういう感じだったよね、と。福田さんもオコチャさんも人をよく見ているんだなぁ。


とか何とか書いておりますが、結局一番大吾組らしいのは設定が売春夫ということ…というかホモとかゲイとかそういう題材ですよね、あはは。なんて言っていると大吾組が腐女子ファンで成り立ってるように思われちゃうかもしれませんが、私はいたってノーマルです。同性愛は全然ありだと思っていますけどね。でもそういうのを想像もしたくない!いやだ!っていう可愛らしい女子も世の中にはいるのに、ガッツリそれを設定にするのっていかがなのかな、とか。大吾組ファンにはそういう人はいないのかしら(笑)

まぁ本人達が楽しかったようなので、それならそれで良いです。

*1:と言うよりは「大さん」?(笑)

*2:ダイアン発言