テルニ


神保町花月9期公演「テルニ」に行っていました。
ジューシーズ松橋さん脚本、ライス田所さん演出、出演者は囲碁将棋、天狗、ジューシーズ(松橋除く)、エリートヤンキー、ライス関町、に日替わりゲストを加えて…というもので。公演前から稽古風景を配信していたり*1して非常に話題になっていた公演でした。
見に行った際にEDで「ネタバレなしで」と釘を刺されていたので感想も我慢していたのですが、千秋楽を迎えて。さあ書ける!と思ったら再演との噂もあるそうですね。

あらすじを書いたりはしません(出来ません)が、この公演のミソになる部分には多いに触れる感想になりますので、再演を期待している方は読まないほうがいいかもしれません。
そして、否定的なものになりそうなので9期熱烈愛の方はイラっとくるでしょうから読まないでください。


この公演をざっくりと説明しますと。
前半1時間程度は、ひたすらシリアスというか暗い物語で。関町さん演じる主人公がイジメられっ子の役で、その復讐の物語…みたいな感じでして。
前半の物語終了後にちょっとした茶番が始まり、そこからきっかけが生まれ同じ物語が再演。
前半と物語の流れ(ポイントとなる台詞など)は同じなのですが、衣装とか小道具・演者のテンション・口調などなどが大きく異なっており、同じセリフを使ってどれだけくだらないものに出来るか、を見せるような、そんなような感じ。

見ていて「ライスのコントに似てるなぁ」と思いました。あの一文字変えよう、のネタです。
あのコントを連想させられたことがひとつガッカリポイントでして。自分は基本的にはネタを最優先にライブを見に行く人間なので神保町のお芝居公演を見るのは好きな芸人さんが脚本を書いたときぐらいなんですね。で、今回この9期公演を見ようと思ったのは脚本ではなくて演出のほうに興味を持ったからでして。ライス田所さんは本を書かせたら若手随一!と呼ばれるぐらいの方ですから*2演出であれ、絶対魅了させてくれるだろうなーと期待していたんですよね。
けれど、もともとライス…というよりは田所さん、と言ったほうが正しいのでしょうか。田所さんの中に存在しているフォーマットで作り上げられていたというのが…うーん、最初に勝手に期待していた私が悪いだけの話なのですが、非常に残念で。でも、そもそもこういう展開を思いついたのは田所さんなのか?(脚本は松橋さんですので)という疑問もあるのですが。

この公演のポイントは前半部分でいかに引き込めるかって部分にあるように思います。前半の暗い笑いどころのない物語の中で起こる様々を印象づけておかなければ、後半そこからどう変化させていっても感動は生まれないわけでして。
実は自分は前半の物語の途中で見ているのが嫌になってほとんど聞き流していたんです。前半が終わったときも「2時間耐えたー!」って思うぐらい長くて長くて。時計を見たら1時間しか経っていなくて愕然としましたもん(笑)
割とこういう暗いというか、バッドエンドと言うか、どろ〜っとした物語が嫌いではなくて、むしろ好きでして。だから前半の物語のちゃっちさに見る気を削がれてしまいまして。見終わった後に考えれば後半のためのフリなわけですから、そこに精度を求めることが違うのかもしれませんけれど。だからって、最初見ている側としては後半のことなんて知ったこっちゃないので、「シリアスな物語」としての完成度も必要だった…と思うんですよね。復讐なのにあっさり殺しちゃうなんて甘いじゃないですか。まぁ、後半のための物語なので復讐劇で魅せる必要なんて無いんでしょうけどね。
ただただ後味が悪いだけで。物語を書くときにバッドエンドへ持ち込むっていうのは、ある種の人間性の歪みを感じさせたりしますし、割と簡単に気を引ける便利な方法なように思ってまして。(それを書くのはすごく大変なんですけどね)だから、すっごく嫌な考え方なんですけど、前半を見ているときは松橋さんが評価を得るために背伸びしてバッドエンドを描こうとしたのかなーなんて思ってしまって、「こんなので満足すると思うなよ!客をナメんな!」って思いでいっぱいだったんです(苦笑)
見終えた今では前半の出来も全然納得なのですが、でも私がそこで集中して見ることをやめてしまったのは事実であって、やっぱりその分後半も楽しめていないわけで。(前半ありきなので)そういう人が存在しているということが、やっぱり成功ではないように思う…のです。

でもって、後半が良かったのかと問われると…うーん。私が見に行った日のゲストはしずるでしたので、ラッキーでした。他の方がゲストだったら後半も辛かったかもしれません…あのワチャワチャは演者達全員を好きじゃないと耐えられないと思います、ははは。


と、まぁここらへんまでぐらいが終演後の電車の中でメモしておいたことです。


で、ここからはtwitterでの他のお客さんのつぶやきを見て(と言ってもほとんど見てないのですが)思ったこと。
私はかなり批判的に語りましたがTwitter上ではかなりの盛況ぶりでして、すごく良公演として評価されていたので単純に私が9期生への愛が足りないだけなんでしょうか?まぁエリヤンと囲碁将棋が好きなだけで9期に思い入れがあるってわけではないのでね。いや、でもそうやって見る人を選ぶ公演じゃダメでしょうに!これきっかけで9期全体に苦手意識もつ人だっていないとは言い切れないですし。。と言いつつこれが大吾組公演だったらニコニコと見届けているんでしょうし、思い入れの差でしょうかね。

「テルニは長編コント」と仰っている方がいて、なるほど、と。だからあまり好きになれなかったのかもしれません、根本がコント苦手なので。特に後半の感じのワチャワチャと騒ぎ立てるコントが。そう考えると妙にしっくり。まぁもともとお芝居も好きってわけじゃないですし、ドラマとかでさえ見ないのでね。テルニどうこうではなくて、私には神保町花月のお芝居公演そのものが合ってないということなのかもしれません。しばらく神保町はいいやーと思ったのですが、大吾組公演があるので、それは行かなくては…(笑)


と言うわけで9期ファンの方、偉そうに好き勝手書いてすみません。

*1:一度も見れてないですが

*2:誇張してたらスミマセン